ボクは、工芸社の社員だった。
「西田としゆき」みたいな上司が、ソファーから立ち上がり
デカイ声で
「あそこは怖いぞ!なんつったって、4つで全部持ってくからなー」と言った。
薄いピンクの制服を着た女性社員が「これ、極秘資料です。」と小声で
10cmはある分厚いファイルをボクに手渡した。
中を見ると、「日本の広告の仕組み」と書かれた表紙に
○○株式会社と3人の名前が書いてあった。
何故、1つの会社と個人名が3人なのかは分からなかったけど
結局、「西田としゆき」が先程、言っていた日本の広告業界は
1つの会社と3人によって独占されているという事が
A4用紙一枚の図でわかった。
ボクは、派手なスーツを着た神経質そうな男と会っていた。
極秘資料にあった○○株式会社の社員だった。
彼に「えー今回の・・・」と話をしようとすると
何も言わず、左上にあったトースターから、ある物を取り出しボクに見せた。
名刺サイズの木に、半田ゴテで焼いたような線で
コアラのイラストが、描かれていた。
彼の仕草を見て、この人はシバヤマ君みたいな人だと分かった。
兎に角、褒めてたら機嫌がいいし、仕事も上手くいくと。
「ロッテの『コアラのマーチ』のコアラに丸いメガネを付けたいんだよねーー。」
と言って一枚の紙をボクに渡した。
そこに答えがあった。
丸いメガネを掛けたコアラのイラストが完璧に描かれていた。
あー、そーゆーことか。
ボクは紙とペンをカバンから出して
その絵を見ながら、渡されたコアラのイラストと全く同じものを描いた。
コレが、ボクの仕事ということだ。
「こういう感じでどうでしょう?」と言って彼に見せようとしたら
「じゃー打ち合わせに行こうか?」と言った。
あーこの人は暇なんだなーと思った。
目の前にいる受付の女性に
「今から○○に打ち合わせに行くから」と言って、紙に「19時帰社」と書いた。
ボクたち2人は、受付カウンターで1時間近く話をしてたようだった。
「コアラのマーチにとって、コアラとはものすごく大切なんだ。」と
コアラのマーチとコアラの関係について2,30分聞かされた。
結局、今回のプロジェクトは、
「かわいいコアラ」を一般公募し、その中から優秀作品を選び
そのイラストを描いた人に賞金を渡すというものだった。
ただ、コノコンテストは出来レースで、優秀作品は既に決まっていた。
そして、その作品が「メガネをかけたコアラ」という事だった。
ボクたちは、喫茶店をさがした。
いつも夢に出てくる東南アジアの街に来ている。
ヤバイと思った。
目の前にサーフボードを持った若者がいた。
彼は山形の運転免許の合宿で、例の山の上のプールでサーフィンをしてたはず。
隣の部屋の190cmのモデルのような奴と、オバハンのようなパンチパーマの兄ちゃんが
結局、合宿で免許を取らずに大阪に帰った理由がわかったような気がした。
ボクは、いつものバス停にいた。
また、あのバスだ。
あのバスに乗れば、またローマにいかないといけない。
ボクは、一本遅らせて、次のバスを待つ事にした。
隣に居た子供が「コアラのマーチ」を食べていた。
メガネをかけたコアラのマーチだった。
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Work that nothing is done
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什么都不做的工作
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