ブラザー。



トニーにはじめて会ったのは、ある田舎のショットバーで
その時お互い音楽好きということと
「ヨッパラーイ」だったので直ぐに「ブラザー」になれたと思う。

彼の家に行ったのは、会って5回目の時だった。
最終電車が行って困っていたボクに、
うちに泊まって行けと言ってくれた。

彼の家の話は何回も聞いていた、地下にも部屋がある豪華な一軒家で、
自慢のとても美しい日本人の奥さんと暮らしているとのことだった。

翌朝、訳のわからない英語のような怒鳴り声で目覚めると、
周りを見て少し驚いた。

そこには、割れたグラスや脱ぎ捨てられた服の山、
それらと一緒になぜか裸の食パン一斤とピーナッツバターがあった。
昨日は酔っててそういうのに全く気付かなかった。

しばらくするとトニーが現れた。

自慢の家を2階から地下まで案内された。
粉々になった豪華なシャンデリア、
綺麗な彫刻細工が所々にされた閉まらない扉、
水のない大きな割れた水槽とひからびた魚、

どれを見ても数カ月前の彼と東京に
行ってしまった彼の奥さんとの、
幸せで充実した生活が想像できた。

その後、しばらく彼とギターを弾きながら歌った。
昨日の酔いがかなり残っていた。

トニーは昨日の晩にコンビニで買ったほとんど飲んでない
安物のウィスキーをボトルのまま口にし
ボクに飲むか?とそれを差し出した。

ボクは首を横に振り、もう帰ると言おうと思ったが、

サンキューといって首の無いギターを傍らに置き
ボトルを受け取った。

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「ブラザー」 Sebastian 2002/05

・・・実話です。
もっとすごいのあったんですが、またの機会に。

1 件のコメント :

  1. やっぱり面倒なのでいま。
    ピエロの格好をしたへんな外人の小さいアパートに行って
    トニー(仮名)がコイツは安心できると紹介してくれました。

    トニーはしばらくしてトイレに行きラリってました。
    ピエロのオヤジは子供に英語を教えているみたいで壁に色々なイラストと英単語がありましたがイライラした感じで落ち着きがなく。
    しばらくしてどっか行きました。

    トニーも風の噂で警察に捕まったというのは聞きましたがその後どうなったか連絡が付かないままです。

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