球技が盛んな街。


【2/3】

全校男子が集められた。

それぞれに黄色いカードが配られ
ボクのには確か「C-15」と書いていた。ウェンツはC-14。
そう言えば、昔NS田の連結部分が外れ
長い長いエスカレーターを渡って
ようやく始発の電車を見つけ缶ジュースを
飲んだという話は聞いたことがある。

とにかくボクたちは急いで駅に向かった。
何処かでみたことのある駅、
何となく長瀬の駅に似てるなーと思いつつ
ウェンツのC-14に乗る女子たちを見た。
ほとんどがモデルやアイドルのような綺麗な女の子。

ボクは少し嫉妬しながらも
C-15に乗る女の子たちに会いに行った。
知っている顔は、SD.M代とKG.S織だけだった。
いや、確かゴスペルのKY野さんもいた。

ボクは太った声のデカイP先生が大嫌いだったので
結局、スタジオには入らず、いつもの楽器屋で
楽譜を見るふりをして遠くからアンプを眺めていた。
やはりHG.野はイギリスに行くらしい
大きなウッドベースを抱えながら
困ったようなニヤたような、
いつもの「あの顔」で、空港に行ってしまった。
ボクも後を追いイタリアに行ってレコーディングが終わって
チャーリーと酒を飲んでいたがHG.野とは会えなかった。
HG.野は結局アメ村で服を売っていた。

それにしても、KG.S織は意外だった。
大抵こういう場合はAD.Y子がいて、いつも
上手く話すにはどうしたら良いのか考える筈なのに。

勿論、KG.S織に対しても同じで、
どうしたらいいのか考えた。
(この時、既にKG.S織に決めていたので。)

ボクは意識していなかったが、よくよく考えると
彼女の顔はフランス人形のような顔でとても綺麗なのに、
AD.Y子のように同世代のカワイイ女の子という雰囲気が無く
ボクたち男子より、かなりマセてたというか、
相手にしていないような素振りが
近寄りがたい何かを持っていたのかもしれない。
でも、何でKG.S織がボクの車両を選んだのか不思議だった。

時間があったので、ウェンツといつものアノ街の
東南アジアの屋台と日本の夜店が混ざったような店に行った。
オムライスの店は女の子がイッパイいて入ることが出来ず
結局、居酒屋に行ったがビュッフェスタイルだったので満腹になった。

とにかく、あの街の上の方まで行って部屋をナントカしないと・・・
そういう事を考えていると、ボクの部屋はいつの間にか大部屋になっていた。
銭湯に行こうとしたが大きな滑り台から落ちて
冬のプールに投げ出されてしまった。服は濡れなかったのが幸いだった。

ベランダから見える大きな川に1隻の舟が見えた。
多分親戚の男の子だと思うけど、全ての部屋がボロボロ板で
繋がってるのが嬉しいのか行ったり来たりするのでイライラした。

しかもエレベータのドアが開かない。
必死になってドアをコジアケて部屋に入ると
もう既に、試合10分前になっていた。観客は満員。
相手チームは子供だけどかなり手強そうだ。
黄色いユニホームを着ている。多分ブラジルの子供達だと思う。

家族の中でスポーツが出来るのはボクだけなのに
サッカーは苦手なので、とりあえずリフティングの練習をしてたら
ボールがグラウンドから出て隣のマンションのベランダに飛んでいった。

グラウンドから外を見るとインド人の子供3,4人がニヤニヤしてた。
ボールをコッチに投げようとするがボクの位置より
10メートルは下なので届きそうも無い。

松下球場なのか灰色のグラウンドを眺めていた。
ようやく外野席に座る場所を見つけたけど
今、野球をしていたのに、もう運動会が始まっている。
景色は全て灰色なのに後ろにあるバックネットは
鮮やかなグリーンで綺麗だった。

十三通りに出た頃にはもう明け方で、ウェンツはいなかった。
通りを進むといつの間にか九州の駄菓子屋が見えた。

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