隣のジジイ

ボクの隣の家にジジイが住んでいる。見た感じ60から65歳位のジジイだ。ココに来てもうすぐ、1年になるがジジイは引越しの挨拶の時からジジイだった。

「隣に越してきた○○ですが・・・」菓子折りを持って挨拶に行った時、「隣はアッチや」 ボクの目を見ようともせず顎で隣の家を指した。その家は、ボクにすれば隣の隣の家だけどまぁ、ジジイが言うから仕方なく隣の隣へ挨拶に行った。

何故かボクとジジイは会う度に、睨み合った。正確にいうとジジイはいつもボクの足元を睨んでいた。 ある日、ボクとジジイは些細な事が原因で大声で罵りあった。ジジイはその日からボクを見つけると足元を見ながら鬼のような顔で「シバクド、シバクド、シバクド・・・」 と呪文のように呟くようになった。 ボクは別に、シバカレル様子もないので「シバクド、シバクド、シバクド・・・」 を聞き流すようにした。 会う度に「シバクド、シバクド、シバクド・・・」 とジジイが呪文を唱えた。呪文にも慣れ、何も感じなくなったけどジジイに対する感情は前のままだった。

ただ、先週の日曜日、嫌なものを見てしまった。孫であろう3,4歳の女の子が、ジジイの膝の上でキャッキャッ笑っていて ジジイもその孫と同じ位ハシャギながら満面の笑みで顔をクチャクチャにしていた…

あの日以来、ボクはジジイの足元しか見れなくなった。ジジイもボクに呪文を唱えることはなくなった。

【本日の為替レート】
日本:タイ 1円 = 0.2975THB

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